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最終更新日:2008/11/24(月) 18:37:51

論文「国家間賠償の実施条件に関する一考察」

目次

  1. 書誌情報
  2. 概要
  3. 正誤表・補足情報
  4. 入手・閲覧方法
  5. 全文データ
  6. 参考文献リスト
  7. 関連リンク

書誌情報

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概要

1.論文の要旨

幕末から明治・大正期の日本が関与した国家間賠償の諸事例を分析してみると、国家間賠償が実施されるための要件は、おほむね以下の3点にまとめられる。

まづ第一に、当該の国際紛争において、何らかの物質的な損失が発生してゐることである。すなはち、純粋に精神的な損害だけでは、国家間賠償は実施されない。また王皇族などの貴人が被害者となつた事例でも、賠償は実施されないやうである。

第二の要件は、紛争当事国の内部において「賠償実施の意思」が形成されることである。これは加害国においては「賠償支払の意思」、被害国においては「賠償獲得の意思」として成立する。また、これらの意思を実際に形成するのは各国の政策決定者であるが、彼らは賠償実施の可否や、具体的な金額、また賠償の名目を決定するにあたり、さまざまな周辺条件を考慮に入れてゐる。それらの条件は以下の7つに分けられる。すなはち

  1. 相手国と今後どのやうな関係を構築していくかといつた「基本的な国家戦略との関係」
  2. ほかに類似の案件を抱えてゐないかといつた「並行する諸案件の存在」
  3. 自国と相手国の基本的な国力の相違といつた「国家間の力関係」
  4. 紛争に対する相手国の対応や態度
  5. 国内的な政略や輿論の動向
  6. 国際法をはじめとする国際社会の諸規範や趨勢
  7. 過去の事例からの教訓

である。ただし、これらのうち、いづれが重視されるかは、個々の事例ごとに異る。

賠償実施の三番目の要件は、すべての当事国の間で、賠償の名目や金額について合意が成立することである。すなはち、たとへ被害国と加害国の双方が賠償実施の意思を表明したとしても、具体的な金額や支払の名目で合意が成立しなければ、賠償は実行されない。

そして二番目の要件である「賠償意思の形成」と、三番目の「合意の成立」は、相互に影響しあふ関係にある。なぜなら、合意が成立するためには、当事国が交渉をしなければならないが、合意のための交渉そのものが、各国の政策決定過程にフィードバックされ、賠償意思の形成にも影響するからである。また、関係国が賠償に関して何らかの決定を下した場合、それはあらためて交渉の場に持ちだされ、合意の内容に影響を及ぼすことになる。

本稿は、当時の事例を引きながら、以上の点について明かにするものである。

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2.論文の目次

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正誤表・補足情報

35ページ11行目:(誤)すまへに→(正)すまえに

※他にお気づきの点がありましたら、ご一報いただけると幸です。

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入手・閲覧方法

次項「全文データ」から、PDFファイルを閲覧・印刷できます。また紙媒体については、各地の図書館(大学図書館・公共図書館)で閲覧できます。下記のリンク先から検索してみてください。

全文データ

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参考文献リスト

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